ROOTS & School 特別授業
動画制作入門~PR動画を作ってみよう!~ レポート
2025年7月5 ~ 6日の2日間、やまがたクリエイティブシティセンターQ1にて、「ROOTS & School特別授業【動画制作入門~PR動画を作ってみよう!~】」が開催されました。主催は山形市と株式会社Q1です。
これは、2024年10月と12月にも開催された動画制作ワークショップ・シリーズであり、今回で3回目となるものです。講師を務めたのは前2回に引きつづき、映像制作チームBright lightディレクターの片桐賢久さん。やまがたクリエイティブシティセンターQ1のイベント記録をはじめ、さまざまな動画作品の制作を担当されています。
今回の募集定員枠は8名。これまで同様に少人数制となっており、募集開始からまもなく定員数に達するなど、このシリーズの注目と人気の高さがうかがえました。

テーマと参加者とプログラム
今回のワークショップの特徴のひとつは、「PR動画を作る」という具体的なテーマ設定がされていたこと。「動画によってブランドを向上させたい」「認知を広めたい」というニーズを抱いている企業担当者や個人事業者は少なくありません。そうした人たちにとって有益となるような、非常に実務的な、ビジネス寄りのテーマです。
実際、参加者のうちの幾人かは、企業の広報担当として企業紹介や商品紹介といったPRに携わっているとのこと。自己紹介の際には「仕事で活かしたい」「動画制作の実際を知ることで、業者に発注するときにどんなことを伝えればいいか理解したい」と、その参加動機を語っていました。また、「SNSで流す動画を作りたい」「会社のサイネージで流す動画を作りたい」という声もあり、参加者のみなさんから「ここで学んだ動画制作のスキルを仕事の中で活かしていこう」という意気込みが感じられました。
授業は2日間にわたり、撮影から編集まで、動画制作にかかるすべての作業の工程やスキルをひととおり学べる内容となっています。1日目は「撮影編」、2日目は「編集編」。それぞれの基本を座学で学び、その後は実際に撮影したり編集したりということを実践的に行ないます。最終的には参加者それぞれが3分程度のPR動画を作り上げ、作品として上映する、というところまでを目指します。
1日目「撮影編」
講師の片桐さんからは、「どういう映像にしたいのかを考え、それを具体的にコンテに落とし込み、それから撮影していく」という、撮影フローの説明がありました。まず先に、どういう映像にしたいのかをしっかりと考えてイメージしておくと、撮影が効率的になる、と言います。
また、映像撮影の基本として、事前に構成とストーリーを考えておくことや、手ブレなどのない安定した映像を撮るのが望ましいこと。構図、光、音といった要素をしっかりし、映像の質を高めることの重要性などが解説されました。

そのほか、カメラのモニターのグリッドを利用し、三分割法などを使って構図を整えること。自然光や人工照明の光をうまく使うこと。マイクの必要性を理解し、いい音を拾うことの重要性なども学びました。また、機材はスマホでもOKであること。スマホの場合は、アプリを使って、シャッタースピードなど詳細な設定ができるものが望ましいこと。ジンバルを使う手もある一方、むしろ固定して撮影するほうが技術向上につながるかもしれない、などといったアドバイスもありました。
そうした座学を1時間ほどで終え、あとは各自、教室でイメージを膨らませたり、コンテを作ったり、教室を離れて実際に撮影へと繰り出したりしました。



2日目「編集編」
編集編ではまず、使用する編集ソフトについての基本的な説明がありました。今回の参加者たちは、あらかじめDaVinci Resolve またはAdobe Premiere Pro という編集ソフトをインストロールしたPCを持ち込んで参加しています。編集ソフトの画面をみんなで見ながら、素材のインポートからタイムラインへの配置、映像のトリミング、BGMの挿入や音調整、といった基本操作について学んでいきました。その後は各自、前日に撮影した映像を素材として編集作業を進めていきます。


そうして、参加者全員がそれぞれ1本の動画を作り上げました。
最後はみんなで動画作品を鑑賞し合いました。

調理シーンに始まり、そのメニューがお客様に提供され、食べられるまでをまとめた飲食店PR動画があったり。文房具の使い方をわかりやすく伝える、子ども向け教育コンテンツがあったり。とある会社の商品紹介動画があったり。メンタルトレーニングについての作品があったり。犬との暮らしの物語作品があったり……と、さまざまな映像がそれぞれにユニークな動画作品として仕上げられており、どれも見応えのあるものになっていました。
参加者からの感想
最後に、参加者全員から、この2日間のワークショップに参加しての感想が述べられました。
「限られた時間の中でやる楽しさがあった」「同じ場所で撮影しても、まったく違うものができあがることの面白さを感じた」「限られた時間の中で最後まで作品を作れたのはとてもうれしかった」「初めて動画を作ったけど楽しかったのでまたやりたい」「どういうふうに映像を作るかを先に考えることで撮影が変わるということがわかった」「お客様に協力をもらいながら撮影するためには、撮影の前段階の準備が非常に大事だと感じた」「いつもはカメラだったけれど、今回はスマホで撮ってみて、新しい発見があった」「他の参加者のかたの作品を見ることで、新しいモチベーションができた」「企画を立てることの大切さを感じた」「グリッドを使った撮影ができるようになった」「今回さまざまな映像を使う体験をしたことで、動画を作る視野が広がった」「今後のInstagramの運用に役立てていきたい」「会社のPRをよりよくしていきたい」などなど、たくさんの前向きなコメントがありました。
講師の片桐さんからは、「みなさんが楽しんで作っているのが伝わってきました。仕事の業務としてだけではなく、どんどん楽しんで動画を作っていっていただきたい」という励ましの言葉があり、2日間のワークショップは終了となりました。
