Creative City Yamagata

PlayQ:
ローリングマウンテンカレッジ2024
【1限目】
デザイナー・吉田勝信の
仕事場にいく

2025.09.10.Wed

Text: アイハラケンジ Kenji Aihara
株式会社Q1取締役/プロデューサー。PlayQ ROLLING MOUNTAIN COLLEGE では、コーディネーター/教務主任を務める。

Photo: 三浦晴子 Haruko Miura

仕事場の印刷スタジオで授業をする吉田勝信先生

PlayQ:ローリングマウンテンカレッジ2024【1限目】
デザイナー・吉田勝信の仕事場にいく
日時:2024/10/26[土]13:00~16:00
場所:吉勝制作所(山形県・大江町)

ローリングマウンテンカレッジ1限目は、大江町にある、デザイナー・吉田勝信さんの仕事場を訪問し、「表現ノート」(カレッジノート)を作るというワークショップを通して、〈表現〉を使って世の中の課題を解決していく仕事をする「デザイナー」とはどういう人なのか、どのような事を考え、どのように生活しているのか、またデザイナー自身が手掛ける仕事を前にして、〈表現〉について手を動かしながら、みなさんと考えていきました。

■吉田勝信 先生
採集者/デザイナー/プリンター。山形県を拠点にフィールドワークやプロトタイピングを取り入れた制作を行なう。近年の事例に海や山から採集した素材で色をつくり、現代社会に実装することを目的とした開発研究「Foraged Colors」や「超・特殊印刷」がある。趣味はキノコの採集および同定。「London Design Biennale 2023」をはじめ、21_21 DESIGN SIGHT 企画展「Material, or 」「もじ イメージ Graphic 展」「ゴミうんち展」などの展覧会に参加。

箔押し用の金属製の版
金属製の版に彫られた文字を並べて「ROLLING MOUNTAIN COLLEGE」というタイトルを組む

今回制作するノートは、本の表紙や日本酒のラベルなどでよく使われる「箔押し」という印刷技術と、リング製本という製本方法を使って仕上げます。文字の形が彫られた凹凸のある金属製の版を箔押しの機械を使って熱と圧力をかけて表紙を印刷し、普段から見掛けるノート用のリングを使って製本します。

リング製本を実演する吉田先生

単なるメモや板書のためのノートではなく、ローリングマウンテンカレッジで展開される各授業の連続性や学びのプロセスを記すことができ、なおかついつでも携帯できるように、大きさや紙の種類といったところからみんなで考えながら制作を進めました。

出来上がった「表現ノート」(カレッジノート)。表紙に「ROLLING MOUNTAIN COLLEGE」のタイトルが凹凸で表現されている

普段から見慣れている「ノート」というものも、その裏側の製造現場までは見たことがない人が多いかと思います。印刷の現場でしか見ることの出来ない、箔押しという印刷技術と、普段から見慣れている製本リングが交わることで、モノが作られる現場と自分たちが生活する日常とが地続きでつながっていることを、この山形で体験してもらいたかったと吉田先生は言います。

吉田先生は「デザイナー」という肩書の他に、「採集者」「プリンター」という肩書でも活動をしています。山に入りキノコの採集をしたり、今回のワークショップのように印刷スタジオで印刷の業務に従事したりしています。この3つの肩書を行き来しながら活動することが、いわゆる一般的なデザイナーとは違った吉田先生ならではのデザイナー像でもあり、それは山形でしか存在し得ないデザイナー像かもしれません。そして、そういった領域横断的な活動が、単にノートをデザインするということだけではなく、ノートそのものの「構造をつくる」という、今回のワークショップに結びついているといえるでしょう。

一つひとつ違った表情の「表現ノート」が出来上がった


■ PlayQとは
こどもの創造的学びの活動を通して〈創造都市やまがた〉を実現する

PlayQ(プレイキュー)は、「こどもの創造的学びの活動を通して〈創造都市やまがた〉を実現する」をコンセプトに、クリエイティブとテクノロジー、ビジネス、そしてエコロジーの4つの領域を行き来できる山形・東北らしい新しい人材育成を目指した、株式会社Q1が主催するプログラムです。経済産業省「デザイン経営宣言」におけるBTC人材定義(=デザインを競争力にする人材・組織・教育)をベースに、山形・東北独自の視点として「エコロジー」を加えた、4つの領域を横断できる人材を育成します。遊びを通して、地域と仲良くなり、地域に親しみ、地域に夢中になることで、「Local Friendly」(ローカル・フレンドリー)=「地域への優しさ」を持ったしなやかな感性を育んでいきます。毎回異なるテーマで展開するプログラムをはじめ、国内外で活躍するアーティストを招聘した集中プログラムなど、さまざまなプログラムを展開しています。
https://yamagata-q1.com/project/playq.php

Text: アイハラケンジ Kenji Aihara
株式会社Q1取締役/プロデューサー。PlayQ ROLLING MOUNTAIN COLLEGE では、コーディネーター/教務主任を務める。

Photo: 三浦晴子 Haruko Miura