
今回は多種多様な山ラーの中でも一番有名といっても過言ではない「冷やしラーメン」をご紹介いたします。
山形市は1933年7月25日に40.8度を記録して以来、2007年に更新されるまで74年もの間、日本の最高気温の記録を持っていた暑いまちです。そうした気候もあり、夏の暑い日に「冷たい蕎麦はあるのに、なぜ冷たいラーメンはないのか?」といったお客様さの声にこたえる形で、昭和20年代に市内の蕎麦屋さんが開発したのが「冷やしラーメン」のはじまりとされています。つまり山形市は「冷やしラーメン」発祥の地ということです。蕎麦屋さんならではの出汁をベースにしており、冷たくとも油の塊が浮かず、しかもうま味のあるスープになっています。今では様々なバリエーションの「冷やしラーメン」が色々な店舗で提供されるようになりました。
この「冷やしラーメン」の存在が、暑い夏でもラーメンの消費額を落ち込ませず、他の地域のラーメン消費額を突き放す要因の一つとなっています。

■「山ラー」とは
昔ながらの中華そばをはじめ、辛みそラーメン、納豆ラーメン、現代風の魚介系や背油チャッチャ系。山形市発祥の冷たいラーメン、そばつゆに中華麺の鳥中華、トッピングにはげそ天、お客さんがきたら出前のラーメン。山形市民は夏の暑い日でも、大切なお客さんが来た日にも「ラーメンを食べる」ということを選ぶ、ラーメンをこよなく愛する人々なのです。そんな山形市は、1世帯あたりの年間ラーメン消費額で8年連続日本一を誇っていましたが、2021年に首位の座を奪われました。しかし翌年には再び日本一になり、2023年2月8日に山形市長が「ラーメンの聖地、山形市」を宣言をしたのでした。それ以降、山形市の多様性あるラーメン文化を親しみを込めて「山ラー」という愛称で呼ぶようになったのでした。

Text: 高橋大
山形市商工観光部長
Photo: #推しメンやまがた