Creative City Yamagata

山形国際
ドキュメンタリー
映画祭2025
10月9日より開催!

2025.09.11.Thu

Text:
畑あゆみ、廣本菜々子
山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局

主なプログラム紹介と見どころ解説

ユネスコ創造都市ネットワークに「映画分野」で加盟認定を受けている山形市その認定の大きな原動力となったのが1989年から36年にわたり継続している映画の祭典「山形国際ドキュメンタリー映画祭」ですヨーロッパからアジアアフリカ南米まで世界各地で制作された最新のドキュメンタリー映画を中心に新旧の傑出した映像表現を一挙100作品以上集め1週間かけて上映しますまたその作り手をこの山形の地に招き観客ゲスト皆でそのテーマや制作過程についてわいわい語り合うにぎやかな交流の場となります

ユネスコには「諸国民の教育科学文化の協力と交流を通じ国際平和と人類の福祉の促進を目的とする」という基本原則がありますがまさにこの映画祭が目指し体現している理念と一致していますたとえばスペイン・バレンシア地方に生きる農家の親子三世代の日常インド北東部の人々が守り伝えている伝統的な歌や踊りブラジルの格差社会に異を唱える労働者デモなどこの山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映した作品には世界のさまざまな国でそれぞれの現実に向き合う人々の姿が鮮明に映し出されています日本から何万キロも離れた場所で話す言葉も食習慣も違う人々だけれど人生の中で出会う出来事や悩みは共通していますそんな人々の悩みや存在に触れることで今ここにある世界の見えていない部分その先の広がりを感じることができるのです他者を想像し思いやる気持ちそして予測できない未来に向け人生を生き抜いていく勇気をそこからもらえるはずです映画にはそんな力があります

前回「山形国際ドキュメンタリー映画祭2023」開会式の様子
Q1シアタースペースで開催された前回映画祭2023イベント「小型映画アーカイブ・ナイト」

山形国際ドキュメンタリー映画祭は2年に一度の祭典です今年は開会式・オープニング上映が行われる10/9から8日間にわたり山形市中央公民館ホール山形市民会館フォーラム山形そしてやまがたクリエイティブシティセンターQ1を会場に上映を行います日本作品2本を含む世界各国からの最新のすぐれたドキュメンタリー映画が揃うインターナショナル・コンペティション部門そしてアジア千波万波部門では紛争内戦再開発で土地を奪われる人々女性たちの苦境守り継がれる村の祭事ある家族の個人史から近代から古代へと遡る町の歴史的記憶など2025年の世界の今が多彩なアプローチで映像に表現されていますこの2部門は映画祭会期中に審査を行う国際審査員によってそれぞれ賞が決められ10/15の表彰式で各賞が授与されます観客の投票によって決まる市民賞もありこれら2部門の作品をたくさんご覧になる方々は投票することで賞の選出に貢献するという楽しみもありますまた最終日10/16はこれら受賞作品を再映しますのでその日だけ集中して見にいくという短期集中型の楽しみ方もあるでしょう

『標的までの時間』場面写真(山形国際ドキュメンタリー映画祭2025インターナショナル・コンペティション )
『魔法が私に流れ込んでくる』場面写真(山形国際ドキュメンタリー映画祭2025パレスティナ特集)

そのほかカメラの軽量化にともないアメリカで生まれた1960年代以降の新しいドキュメンタリー映画の手法ダイレクト・シネマについてその歴史的な作品を網羅して上映する特集や中東・パレスティナの人々がその大地に刻んできた暮らしと文化その記憶に光をあてる特集などサイドプログラムも充実しています

Q1では無料のプログラムが集中していますが大きなものとして前回同様ユネスコ創造都市プログラム「街を見つめる人を見つめるーユネスコ創造都市の世界」11作品を上映しますユネスコ創造都市ネットワーク「映画」分野の山形市を除く25の加盟都市から公募しセレクトした「街を見つめる人を見つめる」をテーマとする7作品と山形の伝統文化を題材にした映像プログラム「映像で山形ルネッサンス」4作品からなるプログラムです

「街を見つめる人を見つめる」ではドキュメンタリーだけではなくフィクションやアニメーションなどさまざまな手法を使って作家たちが土地とそこに生きる人々を描き出していますネパールのカトマンズから応募された『過ぎゆく日』は牧草地で草を刈る二人の女性の日常が切り取られポーランドのウッチからの『こんなにも美しい街』では恋人の浮気に対する不安が女性を空想と幻覚が入り混じったような世界へと導きますその他にも独自の視点で街と人を見つめた作品が選ばれているのでぜひ足を運んでいただきたいプログラムです

「映像で山形ルネッサンス」は蔵王温泉ジンギスカン長町の愛されスーパー「エンドー」のげそ天など山形の食文化を題材にした作品や1997年から続く「山形小説家・ライター講座」や2023年度の本映画祭に密着して映画の都・山形の一面を捉えた作品など「文化創造都市」としてのさまざまな山形を垣間見ることができます

Q1で10/11に上映される『過ぎゆく日』場面写真(映画祭2025特集プログラム「街を見つめる人を見つめるーユネスコ創造都市の世界2025」)
『ロッコク・キッチン』場面写真(映画祭2025特集プログラム「ともにある Cinema with Us 2025」)

11日(土)にはやまがた創造都市国際会議2025と題して映画の収集・保存のスペシャリストたちによるトークイベントがあります同じくユネスコ創造都市ネットワーク「映画」分野に登録されている韓国・釜山のシネマセンターや広島市映像文化ライブラリーなど国内外で映画文化の活用に携わる人々の活動を知るまたとない機会です

山形国際ドキュメンタリー映画祭では2011年から東日本大震災を記録した作品を「ともにある」というプログラムで上映を続けてきました今回Q1ではその関連プログラムとして東日本大震災と2024年1月1日に起こった能登半島地震をつなげて考える座談会を開きます進行は東日本大震災以後にも聞き取りや映像記録を続けてきた小森はるかさん瀬尾夏美さんです地震や豪雨によって街並みが変わり上書きされていく風景を記録する意味とはなんなのか復興の真っ只中にある能登へ東北から思いを馳せながら一緒に考えてみませんか

ほかにもマルシェイベントや特別招待作品の上映など盛りだくさんの8日間ぜひお越しください!

■ 山形国際ドキュメンタリー映画祭2025

上映スケジュールなど詳細は公式ウェブサイトに掲載しています
http://www.yidff.jp

Text:
畑あゆみ、廣本菜々子
山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局