Creative City Yamagata

山形国際ドキュメンタリー映画祭2025 閉幕

2026.01.09.Fri

text:畑あゆみ認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局

10月9日から8日間にわたり行われた映画祭が、無事閉幕しました。初日の開会式およびオープニング上映から、中央公民館ホールには多くの観客皆様が詰めかけ、最終日の受賞作品再上映日まで、国内外から延べ26,000人を超える方々に参加いただきました。街なかには、市内5ヶ所の上映会場を中心に石垣を模した映画祭ポスターが貼られ、その石垣柄のフリーパスを首から下げて会場から会場へと急ぎ足で行き交う参加者と、迎えるえんじ色のスタッフTシャツを着たボランティア皆さんの笑顔があふれる、興奮と活気に満ちた一週間となりました。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2025 開会式(10月9日)
駅でゲストを出迎えるゲストボランティアチーム
馬見ヶ崎川の河原で拾った石の画像を用いた映画祭公式ポスター(東北芸工大3年戸島楓子さんによるデザイン)が、秋の山形の街を彩った。

参加者には、長年映画祭を楽しみに参加してくださる地元市民の皆様だけでなく、奇数年の秋は必ず山形!と決め、早くから宿泊場所を押さえて来てくださった遠方からのリピーターの方々や、30年ぶりに参加、すっかり変わった街並みの中で、変わらず佇む懐かしの蕎麦屋や飲み屋さんを見つけて嬉しくなったというオールドファンの皆様の顔も。60年代以降のアメリカ社会や文化を映像で丹念に記録した貴重な作品群をお目当てに、毎日市民会館に通うコアな映画ファンや、音楽フェスのように、滞在中できるだけ多くの作品を見るべく日々綿密なスケジュールを立てて会場をはしごする、国内各地から、そして香港や台湾、韓国など近隣諸国から集まった学生や若者たち。そして、休日に日本や山形発の作品を1、2本見てみるかと、初めて映画祭の会場に足を運んでくださった皆さんの姿で、各会場が賑わいました。フリーパスや回数券を最大限活用いただくために座席の事前予約システムを取っておらず、そのためキャパシティの大きい会場であれば直前でも気軽に滑り込める自由さがあり、それがこの映画祭の大きな魅力の一つになっています。一方で、200席のシアターが何度も満席となったフォーラム山形では、会場の外まで長い行列が伸び、鑑賞を諦めた方々が出るなど、一部ご不便もおかけしました。

市民賞を受賞した『ハワの手習い』ナジーバ・ヌーリ監督Q&A
アジア千波万波部門のアフガニスタン作品『撃たれた自由の声を撮れ』上映後のザイナブ・エンテザール監督と、作品の感想を伝える観客皆さんの様子(フォーラム山形)
市内の複数の飲食店が出張出店したドキュ山マルシェ(市民会館ロビー)

メインのプログラムであるインターナショナル・コンペティション部門の15作品は、中央公民館ホールと市民会館の大ホールにて2回、上映を行いましたが、合計で延べ約8,000人を集めました。大賞であるロバート&フランシス・フラハティ賞に輝いたのは、3時間半の大作『ダイレクト・アクション』でした。環境破壊に反対するフランスの活動家コミュニティを見つめた作品で、闘争だけでなく、理念をそのまま行動へと移し自給自足を行う彼らの日々の活動をじっくり撮影したものです。ベン・ラッセル監督は念願かない山形に来られたことをとても喜び、上映後のトークも大いに盛り上がりました。

映画祭2025 表彰式(前列左から二人目がベン・ラッセル監督)
山形市長賞に輝いた『ガザにてハサンと』カマール・アルジャアファリー監督によるロビートーク(市民会館)

上映のほか各種イベントももりだくさんでしたが、Q1のシアタースペースとイベントスペース、そして近隣のカフェでは、連日さまざまなディスカッションイベントが行われました。山形市創造都市推進協議会との共同企画である「やまがた創造都市国際会議2025」では、「わがまちの映画資料−ユネスコ世界視聴覚遺産の日を祝して」と題し、韓国・釜山から、そして日本各地の映像アーカイブ機関から映画保存の専門家やアートコーディネーターをお招きし、地元テレビ局が持っていたフィルムや、その町ゆかりの映画人が遺した資料など、地域がもつ映像資料をいかに保存し公開・活用しているかについて、それぞれの実践をご紹介いただきました。また、まだ完成していない短い粗編集版を上映し、映画作家と会場に集まった人々とが語り合い、その対話を通して新しい見方や考え方に出会っていく場「ヤマガタ・ラフカット!」も、今年で8回目を迎え、固定ファンもでき連日にぎわいました。日英の同時通訳システムを入れるため、会場設営時にさまざまな工夫が必要となりましたが、無料のプログラムが揃っていることもあり、この二つの会場は毎回入り口付近まで人があふれ、映画祭らしい熱く高揚した空間が生まれました。

「やまがた創造都市国際会議2025」
「ヤマガタ・ラフカット!」

市内各会場のシアターを舞台に、県内から、全国から、そして世界各地から集まった参加者とゲスト監督、ボランティアで活躍いただいた多くの皆様とが、映像を介して出会い、語り合った映画祭。次回は2年後の2027年10月に開催予定です。乞うご期待!

text:畑あゆみ認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局