Creative City Yamagata

Interview
「こころに平和をくれるもの」
vol.03 鎌田浩平さん

2026.03.29.Sun

平穏に日常を生きるそのための知恵や工夫のようなもの暮らしのなかに埋もれている奥ゆかしさのようなものそれらもまたこのまちに生きる人びとのとても大切なクリエイティビティかもしれませんこのまちで日々を営む一人ひとりの胸の内をたずねしずかな声にじっと耳を傾けながらその輪郭をぼんやりとでも浮かびあがらせてみたいものです
いったいあなたのこころに平和をくれているものはなんですかきょうはゲーム制作会社のエンジニアでありCTOである鎌田浩平さんに話を伺います

■プロフィール
鎌田浩平(かまた・こうへい)株式会社ブラックタワー取締役チーフテクニカルオフィサー1976年山形市生まれコンソールゲーム会社でエンジニアテクニカルディレクターとしてゲーム開発に携わった後2012年に「海外のインディーゲームのノリで制作できる海外志向のゲーム会社を日本につくろう!」とRichie CasperとともにBlack Tower Studiosを設立日本だけでなくアメリカオーストラリアなどさまざまな国の開発者や開発会社とともにゲーム開発を行なっている現在は東京・山形での二拠点生活を実践中


「平和に生きているね」「穏やかだね」と言われればそうかもしれませんこの性格は高校ぐらいからもうずっとこうだったような気がしますふだんなにかに怒るようなことはほとんどないかもしれません

ゲーム制作の仕事をしているとスタッフに任せていた仕事がまったく進んでいなかったという事態が起きることもたまにありますけどそれで声を荒げることもないですし感情的になることもありませんまずはその事態をどう解決するかということが先ですしそれにそのひとに任せたけれど「やっぱりできなかった」というのはできなかったそのひとの問題というより任せたこちら側の問題でもあるわけでそのひとに怒るのはちがうなと思います

もちろん仕事でイライラすることはあります職場や家庭でそういうオーラが出てしまうときもあるでしょうそれでも他人に当たるということはないと思いますじぶんの仕事がうまくいってないとかいっぱい溜まったことに対してイライラしているだけであくまでじぶんと仕事のあいだでのことほかの誰かに対してのものではありません

そもそも他人に怒るひとというのは最初から他人に期待しすぎじゃないかと思いますとくに優秀なひとほど相手もじぶんと同じことができるものと思いこんでしまってそれで相手に過剰な期待を寄せてしまいがちな気がしますだから期待が大きいぶん失望も大きいということになってしまうのでは

このひとがどれだけ仕事できるかわかっていればだいたいはそのとおりにやってくれるものですしこのひとはこれくらいだなってわかったらわかったなりに接するだけのことすごくできるなら仕事を増やしたり新しい仕事を任せてみたりしますまたこれまでの経験上考えかたはみんなそれぞれなので「じぶんがこうだから」とじぶんを基本にしてテキトーな仕事の振りかたをしてしまうと大体うまくいきませんテキトーに振った仕事というのはテキトーに跳ね返ってきてしまうそれはこちらの責任でもある文句は言えないなと思うんです

仕事にはバックアッププランがありますだいじな締切りがあるときはそれよりまえの「この段階で確認しておけばなにがあっても最終的には大丈夫」というタイミングで締切りを自主的に設定しておくなどしてうまくいっていない場合のプランも用意しておくわけです

これは職業柄かもしれませんゲームデザインの仕事というのは頭のなかで「このゲームは面白そうだな」と思ったものを一生懸命つくるわけですけど実際につくってみたら面白くないというのはよくあることなのでまた進行途中でクライアントから「仕様が変更になりました」と言われることもありますしそういうときも多少ムッとすることがあるとしても「そういうもんか」「それで良くなるんならいっか」くらいの感覚でいることも大切です

仕事は路線変更される可能性もあるし途中で頓挫する可能性もあるじぶんたちの仕事はそういうものだと思っておくことじぶんが思った通りにはなかなかいかないと思っておくことそういうスタンスでいることそれが身についてくるといちいちキレてもしょうがない感じにもなってきます

わたしたちの仕事は基本的にチームワークなので仕事するほど「いろいろみんな違うんだな」というのがわかってきてどんどん穏やかになっていくんですこっちの仕事の振りかた悪かったんだなとかこういう頼みかたしたらこうなっちゃうんだなとかこのへんをはっきりさせないで頼むと痛い目を見るなとか……すべてはじぶんがやったことの跳ね返りとして受けとめざるをえないその意味ではおたがいへの理解を深くすることそれが大切なのです