となりの やま/もの
(山形の生きもの)#01
カモシカたちの
『くうねるところ、すむところ』
Text: 中村夢奈
やまがたヤマネ研究会 代表
hhttps://yamagata-yamane.jimdofree.com

山形のイベントや講話では必ず動物の種類当てクイズをするのですが、「カモシカ(Capricornis crispus)」はみんな知っています。ツキノワグマをヒグマと間違える方はたくさんいるのに…?むしろ山形人のDNAにはカモシカというデータが刻まれているのかと思うくらいです。
私は埼玉生まれですが、小学生の頃にカモシカなんて見たことがありませんでした。小学校低学年の時に、もののけ姫に出てくるシシガミさまに似た動物を図鑑で探した時に初めて知ったくらいかもしれません。そのため、山形に来たばかりの頃は、調査でカモシカに出会うと嬉しくて興奮しながらいつも写真を撮っていました(写真1)。
氷河期さえも生き残ってきた日本固有種。国の特別天然記念物。牛のなかま。ニホンジカみたいに角は落ちない…いろんなカモシカの代名詞がありますが、とにもかくにも私は毛むくじゃらな「カモシカのような足」にたとえられたくない…あと、反芻(一度飲み込んだ食べ物をもう一度口の中に吐き戻して食べる行動)はずっと見ていると自分も胃がムカムカしてきます。因みに、カモシカの毛はふわふわしているように見えてゴワゴワしています。触るとがっかりです。遠くで見ているくらいが野生動物にロマンがもてます。
山形県警察のマスコットにもなるほどのカモシカ。観光地だろうが、里山だろうが、ブナ林だろうが、高山帯だろうが…山形のどこにでもいるカモシカ。そんなイメージがあるかもしれません。
でもね。近年の国や県の調査では、山形県の山岳部では見られにくくなっています。数が減っているのか、住む場所を変えたのか…そもそも人が山間部に入らなくなったから見つかりにくくなったのか、原因はまだ分からないですが、人知れずいなくなってしまう可能性も秘めています。
そんなカモシカの生活を隠し撮りしてみると、まあ、面白い!
カメラが気になってしょうがないカモシカ(動画1)。人ではカメラのセンサー音はけっして大きく感じませんが、彼らにとっちゃぁこの微音も何が起こるか分からないから不安になるのでしょう。
カメラになのか、自然の中での何かに驚いてなのか、「びっくりしたし!」と言わんばかりに警戒音を出すカモシカ(動画2)。森の中で会っても、じーっと見つめ合った後にのんびりいなくなっていくカモシカの姿の方がなじみ深いかもしれませんが、感情豊かでしょう?




写真2:カラーバリエーション豊富なカモシカ
カラーバリエーションも豊かです(写真2)。ガングロ、茶髪、ポイントメッシュ、色白、あごひげ…データ化する時には入力こそしませんが、心でいつも名前を付けています(お。この子好みだわ~。とかも言ってます)。
そして、カモシカってどんな風に寝ると思いますか?(動画3)立って寝る・丸まって寝るように思う方もいるかもしれませんね。カモシカだって眠くてたまらない、でも熟睡すると危険…ああ、でももう無理…と吹き出しをつけたくなります。まるで、深夜のワールドカップ観戦翌日の私です。
動画4では子育て中のカモシカが見られます。1歳までは母親がしっかりと見守り自然の中での生き方を教えます。やがて1歳を過ぎると、母親は子を追い出し独り立ちを促します。なんて、手厳しい!を思うかもしれませんが、「カモシカ」という種を繋ぐためには必要な行動でもあります。
こんな野生動物たちの行動を見ていると、生き残るために獲得してきた『くうねるところ、すむところ』は、緻密に計算されているようで、外れ値的なちょっと理解しにくい行動によって進化してきたんだなぁと実感します。
…と、マジメに言ってみたものの、単純に見てて楽しいです。彼らの感情むき出しの姿はたまりません。誰も知らない姿を知った感じでワクワク・ゾクゾクします。
ここでは、そんなワクワク・ゾクゾクする生き物たちの姿を紹介していきたいと思っています。ぜひ興味を持ったら、不思議な隣人「ヤマーモノ(山形のいきもの)」たちを図鑑で調べてみてください。
『野生動物』と聞くと現代では様々な感情が動くでしょう。それでも、知る(理解する)ことで何らかの変化が起こるかもしれません。
Text: 中村夢奈
やまがたヤマネ研究会 代表
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