Creative City Yamagata

となりの やま/もの
(山形の生きもの)#02

海の宝石 ウミウシ

2026.11.06.Fri
写真1:アオウミウシ

私の事をよく知る人なら、私が「ウミウシ」好きなことは知っているでしょう! 

毎年6月頃になると、彼らに会いにウズウズし始め、海に潜らずにはいられません。特に私は飛島の海が好きで飛島に行けないと夏は心が酸欠状態になります。

「海」の「牛」と書いてウミウシ。貝殻という身を守る武器をなくして進化した貝。ルビー・サファイヤ・エメラルド・オパール…宝石のように透き通りカラーバリエーションが豊富で、浅瀬から深海に生息しています。見てください、このビビッドな色!白ベースに赤い縁取りの触角…おしりのフリフリしたエラ…その芸術的な出来栄えにうっとりです(写真1)。ウミウシ界では知名度No.1のアオウミウシでさえ、同じアオウミウシでも別種かと思うほど模様も異なります(写真2)。毎回、「君の名は…?」です。

写真2:全部アオウミウシ

その多様性ゆえに、まだ名前のつけられていないものや新種もたくさんいると考えられています。つまり、新種発見というロマンがある生物でもあります。

そして、世界中の研究者がウミウシにゾッコン!というのが、名前から分かります。ツノウミウシやサフランイロウミウシはなんだか想像しやすいですよね。でも…シンデレラウミウシ、イチゴミルクウミウシ、メダマヤキウミウシ、インターネットウミウシ、ハナデンシャ、アカベコウミウシ…何それ!?な名前ばかりです。ちなみにオシャレオトメウミウシなんて、私はお洒落な乙女には見えません。

彼らの色のバリエーションは「自分は食べたらアカンで!」ということをアピールしているためと言われています。素手で触っても危険な毒を持っている仲間のウミウシもいますので、何の種か分からないときは触らず眺めるだけにしてあげましょう。

今のところ飛島では、11種類のウミウシの仲間を見つけることができました(写真3、動画1)。私の推しはマンリョウウミウシです。大きくて(15㎝くらい)、背中のいぼが少し固くて、触角が探しにくいなど、ガーネットみたいできれいです。

写真3:飛島のウミウシたち(左上から時計回りに、コノハミドリガイ、ニシキツバメガイ、サラサウミウシ、アメフラシ、ホオズキフシエラガイ、マンリョウウミウシ)
動画1:飛島のウミウシたち

そんな彼らは、食べものの種類が限られていたり、適する水温や水流が種によって異なるため、飼育が簡単とは言えません。近年、水族館飼育員や研究者の努力によって生態が少しづつ明らかになり、水族館で見られる機会も増えてきました。

飛島で観察できた多くのウミウシもカイメンと呼ばれるスポンジ状の生物を食べています。飛島の海底にはウミウシたちの食べるカイメンがびっしりと生息していて、ウミウシたちが歩き回っています。そして、岩場のアオサがキラキラと輝く酸素をまといながら揺れる中で、色鮮やかな魚がのびのびと泳ぎ回る光景には、『ずっとこんな景色が続けばいいなあ』と思わずにはいられません(動画2)。

動画2:飛島の海の様子

しかし、一昨年あたりから飛島の海に異変が起きています。海が生あたたかく、海草が枯れている部分が…明るい太陽が海底まで差し込んでいた場所も、見知らぬ海草がうっそうと生えた部分もあります。そんな中でも牡丹の花のようなウミウシたちの卵(写真4)を見かけると命のリレーが行われた事にホッとしますが、海水温の上昇には眉をひそめざるを得ません。

もちろん、心配事は海水温だけではなく、海底にからまる様々なゴミも…(動画3)。

写真4:ウミウシの卵
動画3:海の中のゴミ

海を守る…って大それたこと過ぎて何をしたら良いか分かりにくいんですよね。ゴミは分別してリサイクルボックスへ持っていく、緊急時以外はペットボトルを使わずマイボトルで…こんなほんの少しの『絶対できる』アクションをひとつずつ増やすだけでも、違うんじゃないかなと思っています。

ぜひ宝石みたいなウミウシに興味を持った方は図鑑を見てみてください。笑っちゃうほど変な名前・変な形・変な模様にハマって本物を見に行きたくなるはずです。